会長挨拶

  • 岩城 徹
  •  第56回日本神経病理学会総会学術研究会を平成27年6月3日(水)~5日(金)の3日間、九州大学百年講堂(福岡市東区馬出3−1−1)にて開催します。
     本学会の特徴の一つとして、神経病理学の基礎を支える病理医と脳神経疾患の臨床現場で活躍されている様々な分野の臨床医(神経内科医、精神科医、脳神経外科医、小児神経科医、神経放射線科医など)が一同に会して、希少な神経疾患から近年急速に増加し社会的な対策が求められているアルツハイマー病など様々な神経疾患の診断と病態に関する最新のアイデアを活発に討論するユニークな場を提供しています。
     また教育セミナーでは神経病理学全般に必要な知識を習得でき、新たな神経病理医育成のための取組みを継続的に行なっています。

     今回「神経病理学におけるベストエビデンスを求めて」を主題として、臨床病理学的意義の高い診断の確立と病態解明を目指して行きたいと考えています。
    今日evidence-based medicine (EBM)の考え方が、ほぼ全ての医療分野に浸透しており、その発展過程において疫学など異なる領域の手法を柔軟に採用してきた経緯があります。そのなかで、病理学はEBMを受け入れることが遅い領域でした。その理由は病理そのものが臨床推論の中でエビデンスとみなされ、臨床病理カンファレンスで病理医が最終診断名を告げるといった位置付けにあったことと、特に外科病理医が治療選択の基となる明確な診断を言い渡すといった役目を担ってきた事があるでしょう。
     しかし様々な技術革新によって人体標本から非常に多くの情報が得られるようになった現在、人体病理学においても組織形態学的解析に加えて、画像診断、遺伝子診断などの知見を考慮しつつ、どの所見やデータが重要であるか、また優先的に選択すべき検討事項をエビデンスに基づいて決定し、かつ常に見直し整理することが求められています。
     その結果として、神経病理学においても実践的なガイドラインを入念に作り上げ、その同意声明を出して普及させる努力が必要です。

     本学会が担う脳神経疾患は幅広く、全てにevidence-based pathologyを導入する事は容易ではありませんが、この考えを普及させるために、様々なエビデンスが集積されて来た疾患群について、そのベストエビデンスを整理して共有し、コンセンサスを確認しあう取組みを展開して行きたいと考えています。
     今回の学術研究会では、議論を深めるために「神経病理学におけるベストエビデンス」を探求するシンポジウムを企画します。また、疫学と病理学が融合したユニークな研究を展開している久山町研究を取り上げて、特に認知症研究におけるエビデンスを討論できる機会を持ちたいと考えております。臨床医あるいは病理医として、いかに神経学や神経科学に大きなインパクトを与える研究を行うことができるか、皆様とともに考える機会になればと願っています。

     九州大学神経病理学分野教室員一同、全ての会員と多くの関係者の皆様のご参加をお待ちいたしております。

会長 岩城 徹

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主催事務局

第56回 日本神経病理学会総会学術研究会
九州大学大学院医学研究院 神経病理学分野
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